ここでは、大競争時代がもたらす本質的変化と、経営者に迫られる決断の選択肢、そしてこれからの時代に求められるキーワードについて明らかにしてみた。
かつては国をあげて追いつけ追い越せの目標があった何度もいうまでもなく、経営環境はバブル経済の絶頂期の10年前に比べて一変してしまっている。
高度成長期、バブル崩壊以前は、企業の将来を展望するに際して、その企業を多面的に見ることでいくつかの「課題」を抽出でき、企業経営者や経営コンサルタントはその課題解決の手段を考えることで経営戦略を策定できた。
そのとき標榜するものは右肩あがりの常に成長する会社の将来像であり、それを大前提にして事業展開を図っていった。
企業の業種業態、企業規模、取扱商品、売上構成比、業績、市場占有率、発展段階などをつぶさに分析し、その結果を企業理念や企業コンセプトと照らし合わせることで、長・中・短期の事業計画が策定された。
企業イメージをより鮮明にするためのCI(コーポレイト・アイデンティティ)が盛んに行われ、たとえそれが一過性のものでも、それなりの成果を得ることができた。
以上のどれもが成長期の特徴であり、また企業も横並び的とはいえ事業運営の仕組みをシステマティックに確立してさえいれば、明確な目標を持つことができた。
その体験を科学的に言語化することが巧みな企業トップや経営コンサルタントは、時代の寵児とまではいかなくてもその先見性が高く評価されていた。
しかしながらいまの経済状況下では、かつて成長期の経営手法が通用する局面は、日増しに少なくなりつつある。
識者の弁をまたなくても、日本経済がおかしくなっていることは誰の目にも明白である。
「黒船」という言葉がマスコミに登場するのも、日本近代史に倣って明治維新に匹敵するほどの転換期の到来を告げたいがためだろう。
かつて、「工業立国日本」「製造立国日本」と世界から賞賛とバッシングの板挟みになったことがある日本だが、戦後一貫して欧米の経済力と製造技術力に「追いつけ追い越せ」を目標に頑張ってきた。
その結果、いまから11年前の1987年、日本の一人当たりのGNP(国民総生産)はアメリカを抜いた。
国をあげての一大目標は、このときについに達成された。
しかし、1989年にベルリンの壁が崩れ去り、翌1990年にバブルが弾けてから様相は一変してしまった。
経済はマイナス成長のまま低迷し、政治までが混迷を続け、挙げ句は誰もが信じて疑わなかった実績「ジャパンアズナンバーワン」の椅子から投げ出される始末。
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